品川区内各地で起きている再開発の問題点と、地域住民ができる対策 ~私権を奪われない、市民と共にすすむまちづくりを目指そう!~
現在、品川区内各地で再開発計画が進められています。
これまでも何度か、武蔵小山駅周辺再開発については、HPでお知らせしていました。
【武蔵小山】小山3丁目再開発 「都民の意見を聴く会」に公述人として参加しました。
【武蔵小山・パルム商店街再開発】「不安や疑問が解消されないまま、都市計画手続きに進めないで欲しい」と求める請願に、賛成討論しました。
武蔵小山駅周辺再開発の説明会が開催されます。パルム商店街が超高層ビルに挟まれる⁈
しかし、未だに「再開発は一体どうなっているのか?どこまで進んでいるのか?」「私の住まいはどうなるのか?」という不安の声が寄せられています。
このことからも、品川区の再開発・まちづくりでは、情報提供や説明不足に大きな課題があるということが伺えます。
武蔵小山以外の再開発地域からも、「区と事業者の姿勢があまりにも杜撰である」という残念な報告が届いています。
上記にあるこれまでのHP(陳情への賛成討論)でもお知らせをしていますが、
法的定めのない任意団体である「再開発準備組合」が、「都市再開発法」の20条の2にある「市街地再開発組合」、通称「本組合」のようにふるまい、品川区もそれを事実上容認していること。
議会に対する答弁で区は、「準備組合」と「本組合」を区別せずに「組合」と答弁を繰り返していたこと。
また、準備組合の段階。つまり、都市計画に進んでいない状況では、再開発計画の変更・中止は十分可能あることも答弁せずにいたことなど、これらの不適切な区の姿勢が、現在の各地域での再開発事業の混乱を招いていると言わざるを得ません。。
品川区内の再開発で起きている課題と、市民にできる対策をお知らせします。
【品川区内の各地で起きている再開発は、本来のまちづくりの主旨から逸脱した異常事態】
2023年8月7日(月)「住み続けられるまちづくりをめざす品川区民の会」主催で、大崎・武蔵小山・戸越公園・東大井(大井町C地区)の再開発地域の住民と、都市計画道路放射2号線の計画に自宅がかかっている当事者であるいながき孝子と、品川区議会議員と品川区の意見交換の場に参加しました。
【再開発地域で起きている問題点と、住民が行う対策】
①再開発準備組合が立ち上がる前段に「まちづくり勉強会」や「まちづくり協議会」が立ち上がります。しかし、そのことは地域住民はもちろん、一部の地権者しか知らずに〈再開発を進める話し合い〉が行われます。
品川区は、地域でまちづくり勉強会やまちづくり協議会が立ち上がった情報を必ずキャッチしています。
本来であれば、区が情報を得た時点で、地域住民・まちづくり事業者を繋ぐ行政の役割として、勉強会や協議会が立ち上がったことを地域住民へ広く周知し、参加を促す必要があります。
8月7日の意見交換の場でも、区に対して、勉強会や協議会が立ち上がった時点での周知と参加の促しの徹底を求めました。
*まちづくりの一般的な初動期の流れ (品川区議会 2019年7月29日 建設委員会 東大井5丁目1~4番地区(C地区)まちづくり勉強会に関する都市環境部都市開発課 提供資料)
国交省にも確認をしていますが、まちづくり・再開発は、地域住民の話し合いの元で進むのが本来の姿です。
しかし、その、〈まちづくりの基本が出来ていない〉のが実情です。
品川・生活者ネットワークは区に、改善を求め続けています。
②再開発準備組合が、まちづくり・再開発に関する情報を、地権者にも十分に届けていない。
そして、再開発準備組合が〈情報提供を拒む〉事態が頻発している。
地域住民や、地権者が再開発の情報を得るときは、大体が準備組合が都市計画案を示すときです。
突然、自分の住む地域の再開発案について説明会が実施されるということを、再開発準備組合事業者のチラシポスティングで知ります。
本来であれば、この情報も広く知らされるべきですが、品川区と、区内再開発準備組合の手法は、なぜか、<ごく限定的な地域住民を対象>として説明会を実施しています。
ですので、ポスティングでのお知らせもごく小規模の範囲で行われています。
この行為は、本来のまちづくりの主旨とは大きく異なる方法であり、改善を求めています。
また、大きな問題であるのは、説明会当日に参加できなかった地域住民・地権者が説明会資料を求めても、再開発準備組合が資料提供を行わない。という点です。
資料提供を行わない根拠を、区内再開発準備組合は共通して、「理事会の承認が必要であるため。」と口を揃えて資料提供を拒みます。
そのような場合には、【理事会の承認が必要と記載がある資料】つまり、再開発準備組合が主張する根拠(例えば、準備組合が持っているという規約など)を求めることが必要です。
③「まちづくり勉強会」や「まちづくり協議会」「再開発準備組合」に対し、
再開発まちづくりにどのような立場であるかを明確に示して参加し情報を得る。
国交省にも確認をしましたが、準備組合には本来、再開発に賛成の人も反対の人も、どちらでもない人も、多くの地域住民が参加し意見を交わすことが必要です。
財産権などの私権を奪われないためにも地権者の方は特に、情報を得ることは必要ですし、明確に自分の立場を明らかにして参加するべきです。
その際には、”私は、この地域の再開発事業に〇〇の立場ですが、準備組合に加入します”などといった書面を準備組合と交わし、準備組合にも姿勢を明確に示していることを記録に残しておくことが重要です。
④説明会や理事会等の資料・議事録・再開発準備組合規約等は、必ず資料を入手する。
会議や説明会、再開準備組合等との意見交換の場に出席した時には、録音やメモなど記録しておく。
残念ながら、品川区と準備組合事業者との間に説明の齟齬が生じ、地域住民が混乱する事態に至っています。
このような齟齬が生じないためにも、録音やメモ等の記録が重要です。準備組合とのやり取りを書面で行うことも重要な一つです。
⑤行政や区議会へ現状を伝え要望をする。(請願署名や陳情書の提出)
請願署名や陳情書の提出は市民の権利です。
区への要望ももちろんですが、区議会へ請願書や陳情書を提出することにより、公の場である区議会で議論がされ会議録でも公開され確認ができます。
提出方法等はこちらからご確認ください。→品川区議会HP 請願陳情のご案内
*文章作成については、ご相談いただければアドバイス可能です。
⑥突然の再開発事業に巻き込まれないためには、地域主体で「地区計画」を作成し、備えておくこともできる!
地域住民同士での話し合いや、合意形成が難しいと避けられがちな手法ですが、突然、再開発事業に巻き込まれるリスクを無くすためには地域住民同士で「地区計画」を作成し、再開発事業を参入させないことが重要です。
過去には、品川・生活者ネットワーク元区議会議員井上八重子が事務局を担って、住民の方たちと一緒に「安心してすめるまちづくりを考える会」を立ち上げ、マンション紛争に係る現地調査やシンポジウムを開催し、住民・行政との意見交換を重ねてきた経緯もあります。
その活動の延長に、2007年に南品川3丁目旧東海道の地区計画ができました。
住民自らも参画してきたことで、私権を制限するような高さ制限なども盛りこみ街並み保全への合意形成ができたのではないでしょうか。
…再開発は、都市計画法や、都市再開発法など様々な法律や条例等が入り組み大変複雑です。
品川区には、住民と事業者を繋ぐコーディネーターの役割をきちんと果たしてもらい、
〈誰もが住み続けられる品川区の実現〉に向けて尽力して欲しいと強く願います。
参考資料
品川区まちづくりマスタープラン 品川区が目指すまちづくりが描かれています。
よくわかる中心市街地活性化のまちづくり よくわかる中心市街地のまちづくり 国交省HP