【武蔵小山・パルム商店街再開発】「不安や疑問が解消されないまま、都市計画手続きに進めないで欲しい」と求める請願に、賛成討論しました。

賛成者が起立しています。結果は残念ながら賛成少数で「不採択」でした。

武蔵小山駅周辺再開発の説明会について、こちらのHP(武蔵小山駅周辺再開発の説明会が開催されます。パルム商店街が超高層ビルに挟まれる?!)で報告をしています。

この再開発計画について、地域住民から「開発後の生活などの説明もないまま、都市計画決定に進めないで欲しい。」という趣旨の請願書が区議会に提出されました。その請願書について、賛成討論をしました。

以下、賛成討論を添付します。

品川・生活者ネットワークを代表し、請願第9号小山3丁目第一地区市街地再開発計画に関する請願に賛成の立場で討論をします。

この請願は、マンション区分所有者や住人などの地域住民から、小山3丁目再開発計画について、地域住民への十分な説明等が無く、不安や疑問が解消されないまま、都市計画手続きに進めないよう求める請願です。

本来、再開発やまちづくりは、地域住民が積極的に関わり、地域の理解と納得があるなかで進むべきです。
しかし、今回、請願が提出された「小山3丁目市街地再開発計画」でも、そのようにはなっていません。

まちづくりに関する法律は、都市計画法や、都市再開発法などが複雑に絡み、大変難しい制度であるため丁寧な説明が無いと、なかなか理解が進みません。これに関しては区も、本請願審査の中で「まちづくりというのは専門的な内容で分かりづらいところがある」と認めており、区には、理解や協力を得るために、区民へ丁寧な説明をすることが求められます。

また、まちづくりに関わる「都市計画法」などを基に作成されている「品川区まちづくりマスタープラン」でも、「区民と、事業者、NPO、と行政の協力・理解・連携」が示されています。

しかし、区はこれまで、区民に対し、まちづくりの基本的な説明を省き、正確な情報提供をしているとは思えません。

以下、区の説明不足について例を挙げます。

本請願が審査された9月21日の建設委員会の質疑と、本請願に関係する報告があった7月7日の建設委員会の質疑を確認しました。
7月7日の建設委員会で示された「小山3丁目第1地区および小山三丁目第2地区再開発事業事業者による近隣説明会の開催について」の報告は、法的定めのない任意団体である「準備組合」の説明会開催に関する報告でした。

質疑の中で、「準備組合での合意のとり方」を問われた区は、
「マンションなどのカウントは、その土地で1名とすることが<法令>で定められている」と説明をしました。
しかし、これでは、正確な説明とは言えません。

このカウント方法は、「都市再開発法」の20条の2にあり、市街地再開発組合、通称「本組合」に適用される条文です。

本来であれば、区は、「準備組合を運営する方たちが作成した<準備組合規定>の中で、<都市再開発法>にならって、マンション等のカウント方法を1名とした。」と説明すべきでした。
これは、本請願審査がされた9月21日でも修正がされないまま、質疑がされています。

9月21日の本請願審査では、委員から「今の段階で再開発をやめることはできるのか」という主旨の質問に対し区は、明確に答えず、
「これまでの経緯があるため、区としては進めていきたい」とする趣旨の説明に留まりました。
これも正確な答弁とは言えません。

国交省にも確認をしましたが、まだ、都市計画に進んでいない状況では、計画変更は十分可能です。
現に、他の地域の駅前再開発準備組合では、感染症の影響から需要が見込めず再開発計画を一時、凍結・延期にしている事例もあります。
委員会では正確に、「現段階での計画変更は可能。つまり再開発をやめることもできる。」と説明がされなかったのは不適切だと考えます。

そして、議会質疑の答弁で区は、準備組合と、本組合を一律に「組合」と呼んでいます。これは、正確さと配慮に欠けています。

法的定めのない「準備組合」と、法的定めのある「本組合」では立場は異なりますが、
区が、同等の扱いをしていることから、準備組合自身も、地域住民も、混乱し、「準備組合」を「本組合」と同じと勘違いしてしまった部分があると考えます。
このような事例が他にもあるのではないかと懸念します。

伝聞ではありますが、一例をあげると区内では、「準備組合」が、「本組合」と同様の運営を行い、「再開発後も居住が可能」と、計画地域の住民に「準備組合」が約束し、「本組合にすることの合意」を住民に取り付けました。
しかしいざ、準備組合から本組合になると、「準備組合での約束は、本組合を拘束しない」と反故にした。という事例があると聞きます。

地域住民としては、全く納得ができないというのは十分理解ができます。
このような混乱が聞こえてくるほど、「準備組合」の定義が準備組合や住民の中で曖昧のまま進められています。

国交省によれば、任意団体である「準備組合」は、本来は、賛成者もそうでない人も、地権者以外の人も入れる組織であるべきで、
まちづくりに関しては、多様な意見が活発にされることが重要だと説明をしています。

しかし、本請願書でも請願代表者は、<「準備組合」の加入には、再開発計画の賛成者や地権者でなければいけない>かのように思い込んでいるように読み取れます。

区のあいまいな説明が、区内のまちづくりに影響を与えているのではないか、と危惧します。

本請願者は、再開発計画について、「マンション区分所有者の準備組合への参加率も低く、再開発計画はごく限られた人数の出席での準備組合の理事会で推進検討されてきた」とし、「マンション住民の意向は十分に確認されていない」と不安や疑問を上げています。

そして、準備組合運営者は、準備組合員にたいしても、準備組合員の立場や総人数も明らかにせず、準備組合員へ「準備組合規則」も示していません。
しかし、準備組合員が、準備組合運営者へ質問をした時には、「準備組合規則」を理由に断わる。などの状況が起きています。

区は準備組合に対して、助言を行っていると説明しています。
そうであるならば、コーディネーターの役割を担う区として、このような状況を回避すること、そして広く区民が関われる準備組合運営となるよう適切な助言をすることが必要ではないかと考えます。

請願者が、「不安や疑問が解消されないまま、都市計画手続きに進めないで欲しい」と求める請願の主旨は当然と考えます。

以上の理由により、改めて、請願第9号に賛成することを、皆さまに呼びかけて、品川・生活者ネットワークの賛成討論とします。