子どもへの暴力・虐待をなくしたい

成人の日、子どもの権利に基づく性教育の充実など政策を訴える田中さやか(2019.1.14大井町駅頭にて)

1月12日(土)に子どもの権利条約総合研究所主催の公開研究会「子どもに対する暴力の全面禁止に向けて」が早稲田大学で実施されたので参加しました。

喜多明人さん(早稲田大学/子どもの権利条約総合研究所)から問題提起があり、報告者として田沢茂之さん(NPO法人子どもすこやかサポートネット)①子どもに対する暴力防止に関する国際的動向、米田修さん(NPO法人千葉こどもサポートネット)②子どもに対する体罰・虐待・セクハラ(わいせつ行為)の現状と救済の課題-千葉県における相談・救済活動の現状という二つの報告がありました。

今年、2019年は、日本が国連の「子どもの権利条約」を批准し25周年です。しかし、依然として日本では、子どもに対する虐待事件は後を絶たず、子どもへの暴力に対しても、「しつけ・教育・愛の鞭」などといった表現が後を絶たず「体罰(暴力)は必要だ」と肯定する大人の認識が依然として根強くあります。
また、子ども自身も、大人からの暴力に抗うすべがなく、体罰に対する意識が麻痺している状況にあると考えられ、本当に深刻な状況だと考えます。

 

家庭を含むあらゆる場面での子どもに対する暴力を法律で禁止している国では、法整備することにより抑止力となり、併せて啓発活動を行うことでより効果的に体罰および虐待を減少させることに繋がったそうです。
法律の制定前と比べ、子どもへの体罰の減少と、殺害される子どもの減少、また、体罰を容認する人も大幅に減少するという効果があったと報告がされています。

( https://endcorporalpunishment.org/ )日本語訳がなく残念!!

 

講演会で指摘されたのは、「不適切な養育」=マルトリートメントは、子どもが傷つく行為が全て当てはまるもので、マルトリートメントを受けた子どもの脳は傷つき、発達にも影響を与えることが脳科学からも証明されているということです。
例えば、厳しい体罰が行われると前頭葉が委縮し、暴言や虐待で聴覚野が変形して、強いストレスで偏桃体が変形するとされています。
幼少期に大人からの暴力を受けていた方から話を聞くと、いつまでも当時の暴力がトラウマとしてあり、ふとした瞬間にフラッシュバックすると言います。
女性の当事者は、妊娠期には、お腹の子をいつか自分も暴力を振るうのではないかと不安に感じ妊娠期を心から楽しむことが出来なかった。また、子育てが始まると、暴力を受けていた幼少期の記憶が蘇り、我が子と当時の自分を重ねて苦しくなる時があるとも訴えます。このように、子どもの頃に受けた暴力は大人になっても消えずに残り続けるのです。そして子どもの頃に受けた心の傷が、大人になってからうつ病や、様々な依存症、統合失調症などの発生の一因にもなりうることが報告がされています。

 

子どもの権利条約が採択されて30年、体罰全面禁止法は50か国を超える段階になっており、さらに国内外のNGO・NPOがさまざまな取り組みをしています。家庭や、保育現場、学びの場などの閉ざされた空間で起きている暴力から子どもたちを救うことに繋がる「子どもに対する暴力の全面禁止法」制定が日本では必ず必要です。地域の中で、この問題への共感者を増やしていく働きかけをしていきたいと思います。<たなか・さやか>