【区立単独幼稚園の閉園問題】品川区立幼稚園は私立幼稚園の補完?文教委員会報告①

子どもが小さいうちはなるべく子どもとの時間を多くとりたいと考え、上の子は区立幼稚園に通っていました。登園までの間に、落ち葉やお花を拾い先生にプレゼントをしていた上の子の姿が懐かしいです。

品川区行政の後退が著しい。
それは、行政をチェックする品川区議会のチェック体制が後退しているからではないか?と思わざるを得ないことが、私の所属する文教委員会(子どもや若者、教育について議論する委員会)で継続して起こっています。

【公立幼稚園は、私立幼稚園の補完?「公立」幼稚園の意義を問う】
2022年8月22日の文教委員会で、<2024年度で品川区立伊藤幼稚園を閉園する。その他、浜川幼稚園、城南幼稚園も時期は未定だが閉園する。>と、「報告事項」で突然示されました。

閉園に至る経緯などの詳しい説明はなく、区が、閉園の根拠として繰り返し示すのは、就学前の子どもを持つ保護者に行った<需要調査>の結果だけです。
そこでは、「保育園に通わせたい」との意見が多く、幼稚園の需要は低いと判断されたというのが区の見解です。
共働き世帯の増加や、幼児教育・保育の無償化から、幼稚園よりも保育園の需要が増えたことは事実として私も理解しています。

しかし、区立幼稚園を選んで通っている保護者と、その子どもがいることを忘れてはいけません
そこに通う利用者の意見を聞くことも無く、需要調査結果だけをもって「閉園」の決定を下すことは利用者を蔑ろにしています。そして、その閉園に至るスケジュールもかなり拙速であり、疑念を抱きます

8月22日の文教委員会後、閉園決定が示された伊藤幼稚園の保護者達が立ち上がりました。
そし、今後閉園すると告知された城南幼稚園と浜川幼稚園の保護者繋がり、品川区や議員、会派に向けて、閉園の延期や撤回、区立幼稚園の必要性を訴えいます。

品川区や、区立幼稚園閉園を求めてきた自民党、そして、自民党と連立を組んでいる公明党にとって、保護者による大きな異議申し立ての運動が起きたことは想定外だったと推測されるような発言が9月16日の委員会では散見されました。

◎9月16日の文教委員会では、審議予定表に示されていない伊藤幼稚園の閉園に関する報告が急遽、机上配布資料で行われた。
委員会資料は本来、委員会の2日前に配布、議員タブレットにも保存されるが、14日時点では反映されていませんでした。

9月8日に伊藤幼稚園の閉園に関する説明会が保護者等に向け開催されていたため、その報告があるだろうと私は考えていました。しかし、委員会資料を手にした時点では、委員会の予定表に記載は無く、念のために議会事務局に確認をとった時にも「今のところ、伊藤幼稚園の報告は予定されていません。」とのことでした。

けれど、委員会の当日、委員会室の席に着席すると、机上には、<伊藤幼稚園の閉園に関する保護者対応について>が配布されていました。
保護者の運動は大きく広がり、就学前の子どもを持つ保護者達も注目をしている大きな事案であるのに、委員会が始まる直前での告知という方法や、この手段によりこちらに質問の準備をさせずに、一方的に報告をして済まそうとする区の姿勢が垣間見えました。
議会が果たすべく行政チェックの役割を軽視している態度に、
心の底から憤りを感じたのはいうまでもありません。

前回、8月22日の文教委員会では、区の説明とそれに伴う委員会資料の提出を生活者ネットワークが求めた際に、その説明資料を区は拒みました。
そして委員会自体も、議員の責務を放棄して行政チェックのための資料提供を認めませんでした。
しかたなく生活者ネットワークは情報公開請求を行い、資料を入手しました。
まったくもって馬鹿らしいことが起こっています。

委員会資料が手元に届く9月14日に、伊藤幼稚園の閉園について報告されることが分かっていれば…情報公開した資料を持ち込み真っ当な議論ができたはずです。
「行政の決めたことには従え」というような態度に悔しさがこみ上げます。

品川区議会では、審議に必要な資料を行政が出さないことに何の疑問も持たない議員が多いです。
品川・生活者ネットワークが求めても、委員会として拒否をされてしまう。
つまり、品川区議会では、議員の調査権が保障されず、必要な資料さえも”情報公開請求”をしなければならないことが恒常化しています。この状況は、明らかに議会機能を失なっていると私は考えます。

◎区立幼稚園を閉園させたい自民党と、品川区の目的は?
品川区議会最大会派である自民党はこれまでも、「区立幼稚園の閉園を含めた検討すべき」と主張してきました。
9月14日の文教委員会では、自民党の渡部委員から
「自民党としては約10年間、区立幼稚園の閉園を主張をしてきた。8月22日にも発言したが、伊藤幼稚園の閉園時期を遅らせても、浜川、城南、3園同時に閉園すべきだ。」との主張を強く述べました。
それに対して区は、「閉園時期を再考したい。」といった主旨で返答しました。

生活者ネットワークは、区に対し、
①私立幼稚園と区立幼稚園では役割が違うこと。②区立幼稚園だから通える子どもや保護者の存在を無視しないで欲しい。③行政として、区立幼稚園の意義を改めて考えるべきだ。と求めました。

しかし区は、「区立幼稚園は私立幼稚園の補完である。伊藤幼稚園を閉園しても、約1kmの距離には幼保一体の区立幼稚園がある。また、近隣には、品川区(1園)大田区(4園)の私立幼稚園がある。私立幼稚園には区の方針を説明し、通うことができるよう交渉中である。」と答える始末です。

行政として、本来であれば家庭状況等による理由から、区立幼稚園を選択する人を受け入れる。という考えが、大前提としてあるべきですが、区は、資産の有効活用、公平公正な配分等の財政的な理由を述べて閉園が必要だと主張。本末転倒です。

区立幼稚園を閉じなければならないほどに区の財政が圧迫しているのであれば、新庁舎建設などの見直しが必要ではないか?と、疑念を抱くのは私だけではないはずです。
また、区内在住の子どもたちを行政が、近隣区の私立幼稚園に入園を求めることに違和感を持たないのか?疑問です。

そして何より、子どもに関わる所管が①就学前の子どもと保護者にとって1kmがどれだけ遠いかということを理解していないこと。②区立幼稚園では自転車での通園を禁止しているため、その距離を親子が歩くことになること。このことを”把握していない”ということを、保護者のひとりとして私は猛烈に頭に来ています。

さらに、委員会の中で私は、閉園に向けた区の手続きがあまりにも杜撰であることに疑問を感じ、何を根拠に閉園の手続きを進めているのかを明確にするよう求めました。
具体的には、どのような法律、条例、要綱に基づいた手続きかということを問いました。
しかし区は一向に明らかにせず、区議会もそれに同調。さらには文教委員会の委員から、「法的根拠なんかあるか!」というような失笑が飛ぶほどでした。
法的根拠が無いのであれば、幼稚園利用者にとって理不尽な今回のようなことが2度と起きないように制度を構築しなければなりませんが、そのような感覚は区にも、区議会にも無いように感じました。

しかし、品川区では、3年前にも、ひろまち保育園閉園を急に告知し、住民との間に大き禍根を残しています
利用者である子どもと保護者を置き去りに、一方的に閉園を下し利用者を追い込む政策決定手段はもう、起こしてはなりません。必ず是正させるのが、私達、品川区議会議員の役割だと私は考えます。

市民感覚の「当たり前」が通らないのが、現在の品川区政の状況です。この状況を必ず変えていきます。

品川区議会HPには、「会議録検索」があります。
これを活用し、関心のある政策や応援している議員の発言などを皆様には是非、チェックをして欲しいと思います。

市民の声が区政に届き、市民に開かれた品川区行政そして品川区議会に変えていこう!
10月2日に行われる品川区議会議員補欠選挙では、市民の声を届ける生活者ネットワークの仲間、いながき孝子を議会に送ろう!