公共福祉という試み・戦後70年・原発――稲垣さんちのオープンカフェを広げたい!

稲垣久和さんの著書から 左から、『公共福祉という試み:福祉国家から福祉社会へ』(中央法規出版)。『実践の公共哲学:福祉・科学・宗教』(春秋社)。『靖国神社「解放」論 Yasukuni and Public Philosophy』(光文社 ISBN 4334933866)、どれも手にとっていただきたい、<田中さやか選書>です。

 先日、画像のご本の著者で、国際基督教大学教授の稲垣久和さん(理学博士、専門分野:キリスト教哲学・公共哲学).の、ご自宅を開放されての話し合いの場に声をかけていただき参加した。“稲垣さんちのオープンカフェ”の、この日の内容は――『世代を超えた地域交流をどう仕掛けていくか?』『そこから生まれるアイディアで自分たちの街や国を、より住みやすく、生活しやすい環境に変えていこう!』――異世代との交流を求められての、こうした声掛けはありがたく、またブレーンストーミングが中心だから、頭の体操・思考の整理ができ、次なる活動への意欲も湧いてくる。

 世代を超えた地域交流をどう仕掛けていく?――稲垣さんちのオープンカフェから

この日の話し合いは、私が乳児を抱える新人議員であることも作用してか、年配の方たちからの、「若い世代との交流を深めたいけれど、機会や場所がなかなかない」といった問題提起からスタート。このことは生活者ネットの街宣活動の折りにもよくいただく、「子どもの預け先がない若いお母さんがホッとできるように、先輩ママとして赤ちゃんをみていてあげたい」「乳幼児と接することで、私たちも元気にもなるし、気軽にみていられるような場所があればよい」とのご意見に共通する支援のしくみづくりの提案だ。これに呼応するように、若い世代のお母さんからは、「周りに、気軽に頼れる人がいない」「少しの時間だけでいいので、子どもを見てもらえたらいい」というふう。このような声を繋げ、自分たちの生活をより円滑にするための環境をつくる――当事者と一緒に提案、実現していきたいと思う。 

SEALDsの危機感=3.11原発事故以来、明かされてしまった日本の政治システムへの疑念=大人社会に任せておけない気持ち、気概、それらが報われるような行動を!

折しも今年は、先の敗戦から70年の節目の年。戦争体験者である90代の方の話に耳を傾け、感想文を書き送った小学六年生たちの話や、安保法制に反対して声をあげている10代から20代が中心の学生グループ『SEALDs(シールズ)Students Emergency Action for Liberal Democracy – s:自由で民主的な日本を守るための、学生による緊急アクション)の話題もあがった。

「かつては市民が政治に対して、もっと普通に声をあげていたが、いつからか市民が声をあげることが稀になってしまった。危機的状況になった今、自分たちのこれからを考え、主体的に声をあげているSEALDsの彼らをみて希望が見えた」「ただ、彼らに『戦争反対』『憲法守れ』と叫ばせてしまっている、大人たちがつくってしまった今の政治状況のせいで、こんな情けないことを叫ばせてしまい申し訳ない気持ち…」「SEALDsの動きから声をあげる人々が全国に増えたことも期待できる」「公安がSEALDsを調べ上げたが、背後になんらの団体ももたない普通の市民だということがわかり、安倍政権は市民の動きに怖れを感じている。一人ひとりの若者が自己の信念に基づいて行動していることは、素晴らしいことだ」「戦争体験者は高齢を迎え、だんだんと当事者の話を聴く機会も少なくなってきている。子どもたちが話を聞けるような機会を多面的につくりたいし、戰爭体験・歴史の真実を伝達できるようにしたい」……

地域の話から始まり、原発政策・安保法制と市民の暮らしへと広がった、あっという間の時間。地域のコミュニティから暮らしの環境を整えていく働きかけ、今日のような動き・働きかけが各地で活発になれば、地域社会自らが、区政への反映を通して、私たちの生活環境が向上するはず。小さなコミュニティを少しづつ発展させていき、自分たちの暮らしや心もちを豊かに育てていきたいと思う。そのためにも、稲垣さんちのオープンカフェを参考に「品川ネットのオープンカフェまたは「ネットサロン」を企画中です!!

川内原発1号機で復水器細管損傷事故! 再稼働する理由も、根拠も見当たらない川内原発1号機は停止を!

ところで稲垣さんは、日頃から生活者ネットワーク運動への理解と政策立案への示唆もいただいている、私たちの知恵袋。1975年から1978年の間、トリエステの国際理論物理学研究所とジュネーヴの欧州共同原子核研究所で理論物理学の研究に従事された理学博士。その後「哲学」に転向され、アムステルダム自由大学哲学部客員研究員、国際基督教神学校、慶應義塾大学講師などを経て現在に至っている興味深い経歴の持ち主でいらっしゃる。再稼働した川内原発1号機の復水器の2次冷却水に海水が混入した旨が報道されている事態にも当然話が広がる。冷却用の海水を取り込む細管が破損したにもかかわらず、九州電力は約13,000本もある細管を原子炉を止めずに検査するのだという。だが、運転しながらでは小手先の対策しかとれないことは自明。被曝労働を強いられる作業員の安全を確保するためにも、まず原子炉機能を停止して原因を徹底解剖すべきなのだ。そもそも4年数カ月も放置されていた、かつ老朽原発である1号機を再稼働すべき根拠などひとつも見当たらないのだから。(たなか・さやか)