中学校、小学校の林間学校 裏磐梯・日光は妥当な選択なのか?

 

品川ネットも賛同団体として参加する「上関原発どうするの?~瀬戸内の自然を守るために」(略称:上関どうするネット)がしゅさいする市民集会『いらんじゃろう上関原発』で、福島第一原発3号機にかかる知らされない問題を告発する、おしどりマコさん。上関どうするネットは、3.11を経てなお、山口県上関町での新規原発建設をあきらめない中国電力、対して原発新設が計画されてこれまで33年間反対運動を続けてきた上関町祝島の人々とつながり、首都圏で活動している市民活動グループ。この日のメインゲストは、瀬戸内の海の環境問題に詳しい湯浅一郎さん、祝島からは安心・安全な肉牛酪農、有機野菜の栽培に携わる氏本長一さん。7月26日、日比谷コンベンションホール

82日に福島原発3号機で燃料交換機引き揚げ作業が行われました。4号機の使用済み燃料プールから燃料棒を取り出し始めた時にも行われなかった、『福島原発敷地内の他の作業は全て中断』という規制がかかったほど、今回の作業は危険を伴うものでしたが、事前に注意勧告をするなどの報道はありませんでした(この件で、事前にその危険性を説いていたのは、東電記者会見に継続参加、取材を続けられている一次情報に詳しい、おしどりマコさんでした)。 

中学生の林間学校、福島県裏磐梯は妥当な選択なのか? 

夏休み本番のこの時期、品川区では、中学生が福島の裏磐梯へ林間学校に行っています。この福島原発の作業の日にも区内の学校が裏磐梯へ行く予定だと教育委員会から聞き、不安に感じていました(後日調べたところ、福島へ向かったと聞いた学校は日光へ行っていました)。

福島の原発事故はもう終わったものとして意に介さない首相、そしてメディアもマスコミも扱いは極端に減っています。しかし、収束までの道のりは遠く、いまでも放射性物質は海に空に放出され続けています。今回の作業のように、原発敷地内では全員待避の規制をかける程の危険な作業が行われるというのに、車道規制も注意勧告も行われることはありません。そんな、とても安全だとは言い難い状況にある原発事故被災地の近くへ、子どもたちをことさら送り出さねばならいのでしょうか。311原発事故の次の年に、品川区は安全を考慮し全校の林間学校宿泊先を長野県に変更しましたが、翌々年から福島へ戻す学校が出てきました。行政側の意向は、なるべく全校を福島へ戻したいとのことですが、皆さんはどう考えますか? この作業の日、私は林間学校へ向かった子どもたちのことが心配でなりませんでした。どうか作業が無事に終わるようにとずっと願ってその日を過ごしました。林間学校へ子どもを送り出した家族の方々は、私以上に気が気ではないのだろうなと思いながら。

収束作業中に放射性物質が舞い上がったり、予期しない事故に見舞われるなどで子どもたちが被曝することがあったらどうするのか? 他の地域より被曝をしてしまうリスクが高い場所へ子どもたちを行かせることが、良き判断であるとは到底思えません。 

小学生の林間学校・日光市を視察 都内の23倍の放射能測定値をマーク 

新人議員で日光市の保養施設へ管外視察に行きました。この施設は小学生の子どもたちが林間学校へ訪れる場所ですが、残念ですがこの地も、原発事故の影響で放射能に汚染されてしまったところです。区で区民の方へ貸し出している放射能測定器と、いつも私が携帯している測定器で、施設と施設の外の放射線量を測定してみました。施設内は平均0.1μ㏜/h。施設外は0.140.16μ㏜/hで、たまに0.26μ㏜/hという高い数値を表示する場所もありました。この日使用した測定器は、どちらもγ線しか検出できない測定器でしたので、子どもたちが座る地面の上は、実際はもっと高い数値であろうことは必至です。

子どもたちは、これから長い時間を、すでに放出されてしまった放射能と共存していかなければなりません。少しでも子どもたちを放射線から遠ざけ、被曝をなるべく避けるように配慮することが、私たち大人の責任ではないでしょうか。

この問題に関しては、前回(6月議会)の一般質問の中でも吉田議員が訴えましたが、学校関係者、教育委員会を超えて、子ども自身や保護者との意見交換が行われるべきものと生活者ネットワークは考えています。被災地と私たち区民がつながることは重要ですし、原発事故被災地の被曝問題に道を開くべく、政府の原子力政策と立ち向かう活動をしっかり組み立てることも重要です。ですが、いまこの場から、目の前の子どもたちの安心・安全な環境づくりをはかることもとても重要です。今後も継続して声を挙げていきたいと思います。(たなか・さやか)