オリンピック・パラリンピック大会に区民は「前向き」になれる状況ではありません。市民感覚とかけ離れた議会にならないために!
〇昨年(2020年度)の特別委員会の設置から市民感覚とのズレを感じていました。
上記は区議会報告「品川・生活者ネットワークニュース」(2020年8月発行)です。生活者ネットワークは感染症が広がる深刻な状況と、近年多発する水災害に備えた「風水害・疫病等発生に対処するための特別委員会」の設置を提案していましたが賛同を得られませんでした。
〇2021年オリンピック・パラリンピック推進特別委員会のまとめ
2021年4月21日、品川区議会のオリンピック・パラリンピック推進特別委員会(以下、オリパラ委員会)が開かれ、正副委員長がまとめたオリパラ委員会の1年間の調査報告まとめ(案)について協議しました。
まとめ(案)では、オリンピック・パラリンピックに関する「機運醸成」「レガシー政策」「アリーナ・障害者スポーツ施設」「文化プログラム」「環境・リサイクル」について、これまでの議論の報告と併せて、品川区へ施策の実現を求めています。
その中の「機運醸成」「レガシー政策」について、生活者ネットワークは修正案を提出しました。
〇区民感覚と乖離する議会感覚
「機運醸成」の中では、2020年7月2日のオリパラ委員会の議論をもとに、以下の4つの項目を施策展開するよう品川区に求めています。
(1)東京2020大会に向けて区民が前向きになれるような情報発信を行うこと。
(2)品川区が東京2020大会を盛り上げているということが選手にも届くような発信を行うこと。
(3)機運醸成のための手段として、ホームページ、SNS、動画配信等、オンラインの活用を積極的に行うこと。
(4)機運醸成イベント実施の際や大会期間中においては、参加者の安心・安全を保障するため、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、万全の体制を整えるとともに、対策を講じていることについて周知・啓発すること。
生活者ネットワークは、感染症が広がり五輪開催の延期が決定された2020年3月。その後、開催された同年7月のオリパラ委員会での議論に疑問を感じ、市民感覚とズレる議会感覚について取り上げ、生活者ネットワークニュース120号(添付画像部分)で報告をしています。
2021年2月26日のオリパラ委員会で、「調査項目に関するまとめ」の取り扱いを示された時に
生活者ネットワークは、2020年7月に委員会の中で機運醸成を求める議員の発言があったとしても、感染症が蔓延している現状を踏まえ、区民理解を得るためにも表現には気をつけるべきと求めています。
(2021年2月26日のオリパラ委員会議事録はこちらから確認できます。議事録からは様子が見えづらいですが、委員長の制止も聞かず、私の発言を遮り意見を主張する副委員長の委員会運営姿勢【P17】には疑問を感じます。)
その結果として、2021年4月21日の正副案では「調査を行ったのは令和2年7月2日時点」という文言が加わりました。
しかし、感染症が広がった昨年から、区民は東京2020大会に前向きになるような状況ではないのです。
〇オリンピック・パラリンピック推進特別委員会 具体的検討事項のまとめ
~生活者ネットワーク修正案~
「機運醸成」の項目(1)について、「区民が前向きになれるような」という文言の削除を求めました。
(3)の情報提供について、「積極的に」が無くても通じるため削除を求めました。
(4)については、この項目を1番目に持ってくることと併せて、感染症対策の「中身」についても情報提供するよう求めました。
「レガシー政策」では、項目(4)「競技の普及のため、大会誘致等により観戦する機会を積極的に創出すること。」について、「積極的に」がなくても意味が通じるため削除を求めました。
〇もやもやの1年
先日(4月21日)のオリパラ委員会の中で、「まとめ(案)」の修正すべき点を発言したところ、またしても委員会を運営する副委員長から、副委員長らしからぬ暴言を吐かれ発言を遮られる場面がありました。
しかし他会派からも、現在の感染症の状況を考え「議論された時期をそれぞれの項目でも明記する必要があるのでは?」などの意見があり、生活者ネットワークの主張に賛同を得られました。
けれど、そもそも、このオリパラ委員会の調査報告のまとめが、「委員発言や議事録のまとめ」に終わっていることに納得はできません。
議論を踏まえて年間を通した「まとめ」となっているか、5月に開催される最後のオリパラ委員会に注目したいと思います。
また、2021年6月からは「オリンピック・パラリンピック推進特別委員会」の設置はなくなり、「災害・環境対策特別委員会」が設置されることになりました。
議会のようやくの方針転換には、歓迎をしたいと思います。
(田中さやか)