今期最後の予算特別委員会 報告①

定期で駅前での朝遊説を行っている。(旗の台駅 2023年3月25日)

今期最後の予算特別委員会は、3月6日から3月22日まで開催されました。
3人会派となった品川・生活者ネットワークの質問の持ち時間は、10分増え30分となりました。

予算特別委員会では、1日目に2022年度最終補正予算、2日目からは2023年度の歳入・議会費・公債費予備費、3日目/総務費、4日目/民生費・国民健康保険事業会計・後期高齢者医療特別会計予算・介護保険特別会計、5日目/衛生・産経費、6日目/土木費、7日目/教育費、8日目/総括質疑があります。

7日までの款別審査は1人が15分の質問をして、2人で30分をつかい1人はお休みする形で交代をしながら質疑を行いました。
そのなかで、私が質疑した項目と内容は以下のとおりです。

【最終補正】
◉マイナンバーカードについて
マイナンバーカードを活用したマイナポータルで、DVや虐待被害者の情報が加害者側に見えてしまうリスクがあることについて、これまでも生活者ネットワークは区へ、区民への注意喚起をすべきだと求めてきました。
予算特別委員会では、リスクの共有をするために改めて質疑しました。
その結果、3月9日には「マイナンバーカードをお持ちのDV被害者の方へ」との文章が区のホームページに掲載されました。迅速な対応を評価します。

◉羽田新飛行ルートに関する補助金について
品川区は、羽田新飛行ルートの本格実施が始まった2020年から3年間(~2022年)に「空港振興周辺協議会」の補助金を2000万円受け取っていたことが分かりました。
この補助金は、「立会川・勝島地区の再開発検討経費」に活用されており、区民が求める騒音対策とは全く異なる用途に利用されていました。

詳細は、田中さやかHP羽田新飛行ルート】品川区「羽田空港周辺振興協議会」からの補助金を「立会川・勝島地区まちづくり検討費」に活用していた!をご覧ください。

【歳入】
◉新規事業「
おむつ等宅配事業」について
品川区の新規事業「おむつ宅配」、報道等でも大きく取り上げられ注目されています。
この事業の目的は、育児の孤立を防止し保護者をケアしながら
0歳児虐待死を防ぐことであり、とても重要な事業です。
配達時の対面で、母子の状態の変化に気付くことができる〈高い専門性〉が求められるため、〈どのような専門性を持つ方が何人体制で行うのか?〉を、質問しましたが、「育児経験のある方」以外、区からは全て「検討中」との答弁に留まりました。
重要な事業であるため、引き続き「衛生費」で確認をすることにしました。

◉衛生費で再度質疑した「おむつ等宅配」について
予算見積書を確認すると、配達等は〈事業委託〉経費であることがわかりました。
詳細をみると、〈搬送業務委託、コールセンター等〉とあり、人件費は見えてきませんでした。
歳入でも主張したとおり、配達員には母子の状態の変化をキャッチできる〈高度な専門性〉が求められます。
母子と接する配達員の具体的な人材や、人員体制などを再度確認しましたが、「検討中」とのことで中身はやはり確認することはできませんでした。

8年前の今頃、当時私は産後1ヶ月でした。
産後の症状として視力が低下し、読み物などが全くできなくなり、とても不安になったことがありました。
その体験を伝えながら、産褥期の方がおむつ宅配の手続きをする場合の「配慮」を求め、そこに関しては「配慮をしていく」と答弁を得ることができました。

◉子ども・若者の自死防止対策について
2022年の児童生徒の自死数が512人と過去最多となり、文科省は228日、児童生徒の不安や悩みの早期発見など自殺予防対策の取り組みを求める通知を都道府県・政令指定市などの教育委員会に出したとのことです。

品川区では、これまでも自死予防対策を行っていますが、さらなる対策が必要だとして区へ施策を確認しました。
しかし、区としての危機感が以前より後退してしまった印象を強く受けました。
生活者ネットワークは、子ども・若者の救済にも繋がる「子どもの権利擁護機関」の設置を継続して求めています。
具体的に実現に繋げるために、「子ども意見表明支援員の配置を何人程度予定しているのか?」と質問しましたが、「検討中」に留まりました。
※「子ども意見表明支援員」は、行政機関や児童福祉施設に対して子どもの意見を代弁し、それらの機関が行う決定や子どもの支援等について見直しや改善を働きかける役割を担います。そのため、それら機関との間に利害関係が無いという意味での独立性が求められます。

◉保育の質の確保に向けて
生活者ネットワークは「保育の質確保・向上に向けた改善」を求めて調査・提案を継続しています。
今年1月、区は「保育の質確保向上のための巡回支援事業委託」の事業者を募集しており、内容を確認しました。

この事業の〈目的〉は重大事故防止に向けて、〈水遊び中等の事故が発生しやすい場面等に巡回支援指導を行う〉とあり、〈事業として、必要な保育士の配置状況や、児童の安全や適切な保育の確保に掛かる状況のほか、区が指定する重点項目について対象施設を確認し、支援を行う〉とありました。

生活者ネットワークはこれまで、保育の質確保・向上に向けた具体的な施策として、品川区独自の保育士配置基準を設けることを求めてきました。
また、区民からも毎年「配置基準を見直してほしい」と求める請願署名が提出されています。
この請願については、残念ながら賛成少数不採択となってしまいましたが、国も現在、配置基準の見直しに向けた方向性を示しています。
区として保育士配置基準を設定して、保育の質向上に向け具体的な体制を整えることを期待して、質疑をしましたが、「現在のところは、配置基準の改善は検討していない」という非常に残念な答弁でした。
ただ、
〈調査対象施設〉には、〈私立保育園に限らず、区立保育園や、延長保育をする幼稚園も含む〉とのことでしたので、今後の事業の報告・公表に期待し、保育環境の改善に向けて注視していきます。

【民生費】
精神障害者支援
精神障がい当事者の皆さんからは、相談支援事業所の増設と精神障害者支援施策の少なさを改善してほしいと伺っていたため、現状について確認をしました。
区は、相談支援事業所や施策が増えていることを紹介していました。しかし、当事者にその情報が届いていなければ意味がありません。当事者へ情報提供の工夫・改善を求めました。

【生活困窮者支援】と、【修学旅行等支度金】
生活者ネットワークは、生活困窮者の相談で重要なのは「家計改善支援」であり、家計診断がとても重要であるとこれまでも主張してきました。
現状の確認と、 相談に来た方が「福祉的」な支援が必要だった場合に、必要な支援につながっているのか確認をしました。
そして、生活困窮家庭で突然のトラブルにより急遽、標準服や園服、修学旅行費用などの高額出費が迫られた時の緊急的な支援策についても確認をしましたが、残念ながら現在は緊急的支援の施策は無いということでした。
当事者に寄り添う支援策を強く求めました。

◉ヤングケアラーについて
生活者ネットワークは2018年から、継続してヤングケアラーへの具体的な支援策を求めてきました。
予算書を見ても具体的支援策が見えなかったため、再度ヤングケアラーが自分の時間を過ごすことができるように家事支援等の具体的支援を求めました。
ようやく、区から前向きな答弁を得ることができました。当事者に届く支援となるように、注視していきます。

多岐にわたる項目ですが、簡単な内容の報告となっています。
今後発表される区議会「会議議事録」をぜひご覧ください。
また、ご意見やご質問をいただければ、HPやネットワークニュースなどでも報告してまいります。

その②へ続く。
(田中 さやか)