一般質問報告①子どもへの体罰・不適切指導などの暴力根絶に向け ケーブルTV放送日12月5日・8日
11月29日(金)に一般質問を行いました。
質問項目は前回のHPでお知らせしていますが、
1.子どもの権利条約に基づく品川区の施策について、教育現場の子どもへの暴力・体罰の禁止、子どもの育ちに必要な遊び場の確保等について
2.子どもたちを加害者・被害者にさせないための子どもと保護者に向けた性教育の充実について
3.庁舎のあり方の検討について
4.子どもの育つ環境に影響する羽田新飛行ルート計画について
質問項目の中から、教育現場の子どもへの暴力・体罰の禁止についてご報告いたします。
2012年に発覚した大阪市立桜宮高校での体罰自死事件から、東京都では2013年より「体罰等の実態把握」調査を行っています。
品川区は、東京都が示す「体罰の定義」と、「体罰関連行為のガイドライン」を体罰等の基準として区立学校の調査報告をしています。
今年7月2日に、「2018年度品川区立学校における体罰実態把握」が文教委員会で報告されました。
その報告によると、体罰は4年連続で0件。不適切な行為については3件。その内訳は以下になります。
【不適切な行為】
ア 不適切な指導 小学校2件、中学校1件
イ 暴言等 小学校0件、中学校1件
ウ 行き過ぎた指導 小学校・中学校ともに0件
・不適切な指導 手をはたく(しっぺ)、おでこを弾く(デコピン)、小突く、拳骨で押す、襟首をつかんで連れだす、などの行為
・暴言等 罵る、脅かす、威嚇する、人格(身体・能力・性格・風貌等)を否定する、集中的に批判する、などの行為
・行き過ぎた指導 目的は誤っていないが、その指導内容・方法等が児童・生徒の発育・発達や心身の現況に適合していない指導など
・指導の範囲内 腕をつかんで連れていく、頭・肩を押さえる、寝ている生徒の肩を叩いて起こすなどの、社会通念上妥当とみなされる行為
【申告者別報告数】
教員本人による申告→小学校0件、中学校1件
他の教員からの申告→小学校、中学校ともに、0件
児童・生徒本人による申告→小学校が8件、中学校が11件
東京都への報告と、処罰の対象となるのは、「体罰」と、「不適切な行為」です。
生活者ネットワークに届いている現場の声の一部を紹介します。
●忘れ物・遅刻をした児童に、放課後に取りに戻ることを強要。
後日、再び当該児童に対し、クラス全員の前で叱咤を行う。叱咤後は、クラスの子どもたちに向け「この子のようにならないように」となげかける。
●体調不良で挨拶の声を大きく出せなかった児童に対し、体調を確認せずひたすら大きく元気な声を出すよう要求。大きな声を出せない当該児童を廊下に立たせ、一人で練習をさせる。
教室に戻したのち、「練習しなかっただろう?」と追及が続いたと聞きました。
●給食の完食を求め給食の時間を超えても食べさせ続ける。また、当該児童は翌日は教員の目の前に席を用意して給食を食べなければならず、当該児童は、給食の時間を怖がるようになり、自宅では献立表を見て「学校へ行きたくない」と泣き出してしまうようになったと聞きます。
●児童に対し教員が殴っている様子を、他の児童たちが目撃。しかし、怖くて他の教員に伝えることができなかった。
●児童たちが暴力行為を続ける教員(A教員)のことを他の教員(B教員)へ相談したところ、
「A教員へ言っちゃうよ~」と返される。
児童たちはA教員からの報復を恐れ、B教員へ「ごめんなさい、言わないでください」と相談を取り下げた。
●児童がやってもいないことを「やったのだろう」と教員に迫られ、児童が否定をしても「嘘をつくな」と迫り続ける。当該児童は「とても悔しい思いをしたし、悲しかった」と友人に打ち明けるが、
「絶対に他の先生に言わないで、知られたら先生にもっとやられるから」と口止めをした。…等々。
教員による体罰等の暴力行為が発生している状況が明らかですが、件数として実態把握に反映されていません。
事例を示したうえで、以下を質問しました。
①明らかな体罰といえるものが、なぜ数として反映されていないのか?
②子どものSOSを適切に受け止め、相談、救済にあたり、回復をはかるために、「子どもオンブズパーソン」など独任制の公的第三者機関に被害を訴えることができる制度設置が急務であると改めて、強く主張するが区の見解は?
質問に対する区教委の答弁の主旨
①「これだけ(田中の発言だけ)では、体罰かどうかは判断できない」
②「子どもには先生や校長先生等に相談をして欲しい。したがって、第三者機関を作る考えはない」
①に関しては、非常に激しい落胆と共に、とても強い怒りを覚えました。
区内学校での体罰等事案については、9月に開かれた決算特別委員会の質疑のためのヒアリング時から問い合わせをしています。
9月から一般質問までの2か月間、区教委として区内学校において調査をしてこなかったということが明らかとなり、また、これから調査をするかどうかも答弁で言及しなかったためです。
質疑を議場で聞いていた他の議員も、この区教委のこの答弁にたいして同様に怒りの声を上げてくれ、「このままにしてはいけないよ」とアドバイスをくれました。
(一般質問後の12月3日に開かれた文教委員会で、この一連の質疑に関連して、「全校に向け体罰等の調査を始める」と区教委が表明しました。ようやく区教委が調査をはじめます。)
②に関しては、DV被害者と加害者に置き換えても同じことが言えるでしょうか?
子どもたちがおびえたり、苦しんでいる現実が区教委には全く見えていないということがよく分かりました。その姿勢に憤りを感じました。
身体に与える暴力はもちろん、心に与える暴力などの人権侵害は処分の対象です。
「これは暴力なのか?」と、気になる言動・行動があった際には、ご相談ください。
子どもに対する全ての暴力根絶を実現させるために、生活者ネットワークは引き続き追求していきます。
*ケーブルテレビ品川の「品川区民チャンネル」一般質問の様子が放送されます
①12月5日(木)20:00~20:45
②12月8日(日) 11:00~11:45
是非、ご視聴ください!