年齢に応じた性教育の重要性について学びました
品川ネット子ども部会主催で、2018年10月3日(水)にスクエア荏原で、品川区内のコンビニエンスストアーにある成人向け雑誌の陳列状況調査報告会と共に、助産師をゲストに招き子ども・若者の性の実態について学び、子どもたちにどのように性を伝えていくべきかを、参加者と共に考えました。
開催日が平日のため何人かの方に「とても興味があるが、仕事のため参加することができず残念だった」との声をいただき、子どもたちへの性教育に対する関心の高さを実感しました。
成人向け雑誌の陳列状況調査を始めるにあたり、子どもや女性の権利と尊厳、表現の自由などの問題に加え、保護者として「子どもたちに性に関する正しい知識をどのように提供し、適切な判断をする力をどのように養っていくか」という「性教育のあり方」と、子どもたち一人一人が、自分が得た情報を適切に分析、活用するリテラシーの問題が根底にあるということを品川ネットの子ども部会で議論しを確認しました。
ですので、学習会の冒頭には、私たちが成人向け雑誌の陳列状況調査をする目的として、「性描写があるから排除する」ということではなく、子どもたちのリテラシーを養うために家庭や教育現場での性教育の必要性や、性の対象として表現されてしまっている子どもや女性の権利など、日本社会での「尊厳について」考えることであると参加者と確認し合い、共通意識を持ち学習会へ進みました。
成人向け雑誌の陳列状況の報告を受けた助産師からは、「成人向け雑誌や電車内のグラビアの広告の表現は、人権意識が無く男性目線で作られている『本来の性交ではないものだ』と子どもに伝え続けることが必要であり、伝え続けることにより子どもの記憶に残る」という、指摘がありました。
性交は、コミュニケーションでもあり快楽もあり必要なものであるが、子どもができる行為であり、性感染症にかかるリスクもある。そのため、性交をするときには、パートナーの人生を背負い、大切にしていくという覚悟を持って行うべき行為であるとしっかり子どもたちに伝えることが重要でること。性行為の中で嫌なことをパートナーにされた時にはNOと言わなければ、自分の体を守れないことや、それでも推し進めようとするパートナーは、「自分を人間として大事にしない人」と判断し、離れることが必要であると。まさにリプロダクティブヘルス・ライツについて年齢に応じて教えていくことが必要だと痛切に感じました。
リプロダクティブヘルス・ライツとは
思いがけない妊娠の時に、「保護者に怒られる」と考え、保護者に話せなくなる環境を家庭で作らないように気を付けておくこと、又思わぬ妊娠を防ぐために、避妊具、避妊薬の情報を親子で共有しておくことも重要だとアドバイスがありました。もしレイプに遭ってしまった時には一刻も早く救急へ駆け込むこと。レイプ被害やパートナーとの避妊に失敗した時には緊急避妊ピル(アフターピル)を72時間以内飲むことなどの情報提供がありました。
小さい子どもの自慰行為は「慰める」という言葉が入っている通り、心の不安感を紛らわしているのだと初めて知りました。参加者の保育士から「年中の頃の子どもには、性器を人前で触ることが恥ずかしいことだという意識も無く分からないため、別のことに意識をもっていかせることや、年長の子どもには、きれいな手で、人に見えないところでやるものと伝えている」と保育現場の対応も参考になりました。
参加者からの「子どもからの突然の性の疑問に、家庭ではどのように答えたら良いのか?」という疑問に、子どもの性の疑問には、嘘をつかず、叱らず、否定せずに受け止めることが重要で、疑問をぶつけてきた子どもが持っている知識に合わせた正しい情報を伝えること。そして、子どもからの突然の性の質問に驚いて拒絶することのないように、前もって子どもの性の質問を想定し、それに対する答えを用意しておくことが、とっさの質問に対応できるというアドバイスがありました。
子どもが質問してきそうな性の疑問と、それに対する返答をみんなで考える機会があっても面白いのでは?という意見もあり今後の学習会の参考にしたいと思います。
学校での性教育がなかなか難かしいとといわれる現在、養護教諭や医師、助産師などの専門家を巻き込み子どもが学んでいる実例があります。
2000年代に10代の人工中絶が全国平均を上回っていた秋田県では、秋田県教育庁、秋田県教育委員会が地元医師会と連携し、医師による性教育講座を県内すべての中高生が在校中に一度は受講する機会を設けたところ、2011年度には、2000年度の人工中絶率を1/3まで減少させ、全国平均を下回ったとのことです。
子どもたちが自分自身で性に対し判断が出来るよう、性教育のあり方はますます重要であり、そのような場が設けられるように働きかけていきます。<たなか・さやか>