羽田新ルート問題 品川区から国への要望書について
品川区議会第2回臨時会で、私田中さやかは建設委員会委員となりました。
2020年6月8日開催の建設委員会で「羽田空港の機能強化に関する要望」を、品川区長が国土交通大臣に提出したという報告がされました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大から就航需要が減少している現状や、
減便の状況からも「通常ルートで飛行可能なのではないか?」などの声が区民からも寄せられていることを背景に、
区長が5月20日(水)15:00~15:10に国土交通省に出向き要望書を提出したということです。
都市環境部長・都市計画課長が同行しています。
以下、羽田空港の機能強化に関する要望書の文書です。
羽田空港の機能強化に関する要望について
3月29日より運用が開始された羽田新飛行ルートについて、区は以前より、
区民の不安の払しょくに向け、落下物対策や騒音環境軽減に向けた更なる取り組みと、区民への丁寧な説明、周知の継続実施、都心上空を飛行する新飛行ルート案を固定化することがないよう取り組むことを、貴省に対し継続し求めてきたところです。
2月の実機による飛行確認とともに本格運用開始以降、区民からは実際の騒音の大きさや機体の圧迫感、落下物に対する不安の声が寄せられており、また新型コロナウイルス感染拡大による大幅な航空需要の低下、東京2020 オリンピック・パラリンピック延期が決定した中、従前ルートへ戻すべきなどの声も複数届いています。
こうした背景も踏まえ、区民の不安の軽減に向け、下記事項について要望いたします。
記
○ 区民の不安の払しょくに向け、新型コロナウイルスへの対応や当面の就航需要の減少を踏まえ、一層の騒音軽減策を推進されたい。
○ 落下物対策や騒音環境軽減に向け、これまで貴省より打ち出された取り組みの確実な実施とともに更なる取り組みを早急に実施されたい。
○ 新飛行ルートを固定化しない取り組みの実施については、昨年7月貴省より、「飛行ルートのあり方については、騒音軽減等の観点から継続的に検討して参りたい」との回答があったところであるが、早急かつ具体的にお示しいただくよう重ねて要望する。
以上
(報告のあった要望書についてはこちらから確認ができます。)
〇要望書の策定について
今回の要望書提出に至った経緯は、たくさんの区民からの声を踏まえてとのことです。
騒音が我慢できない、落下物が心配という声、都心低空飛行を止めてほしいという声は、羽田新ルートは容認できない・反対だという区民の思いにほかなりません。
その声を真摯に受け止め要望書に盛りこむべきだったのではないかと質しました。
ところが、「区として国の事業に賛成・反対という口を出す立場にない。」との従来の説明を繰り返しました。
羽田新ルート運用の決定が国の事業だとしても、地域住民に起きている大きな負担・影響について、地域住民の生活を守る自治体としての責任を放棄しているとしか言いようがなく、毅然と国に意見する姿勢がないことは大きな問題です。
〇要望書について、区の説明
要望書に記述のある「従前ルートへ戻すべきなどの声も複数届いています。」という文言は、「従前のルートに戻すべき、新ルートの3時間飛行より短縮を求める」という主旨で記述している。と区は説明をします。
そして、「新ルートを固定化しない取り組みの実施」という表現については、「都心上空を飛行することがない。飛ばないということを求めている」との思いを込めていると都市計画課長は発言をしました。
しかし、文面を見た時にそのようには読み取ることはできません。国には一切伝わらないでしょう。
区が本当に「従前のルートに戻すべき、新ルートの3時間飛行より短縮を求める」「都心上空を飛行することがない。飛ばないということを求めている」のならば、そのように明確に要望書に記述すべきです。
〇国と千葉県との確認書について
2019年12月25日に国と千葉県で締結された「羽田再拡張後の飛行ルート等に関する確認書」について、国から区への説明はこれまでも無かったと言います。東京都での連絡会の中でも確認書について共有されることは無く、区は報道で知ったということでした。
区は報道で知ったとしても、明らかに国土交通省に抗議すべき案件のはずです。
区が要望書を提出した5月20日以前に確認書の存在を区は認識しており、確認書を踏まえたうえでの要望書の作成をすべきでした。
そして、6月8日の建設委員会での報告の時点でも区は、「国と千葉県の確認書の中身は確認していない」と平気で答弁する姿勢にあきれてしまいました。
なぜなら、国交大臣は国会で新ルートはこの確認書が根拠であるかのごとく発言をしているからです。
〇「首都圏全体での騒音の共有」という新しい文言
要望書を提出した日の「当日発言要旨」では、『航空局長より新飛行ルートには容量拡大、首都圏全体での騒音の共有という目的があった』と記述があります。
これまでの国の説明の中で、「首都圏全体での騒音の共有」といった説明は一度も無かったことは区も認めています。もちろん、区民に対しての説明会の場でも一度も説明はありませんでした。
羽田新ルートの目的や説明が変わってきたことに対しても、区も区議会も改めて強く国へ説明を求めていかなければならない思っています。
実際に新ルートが運用されて住民生活に悪影響を及ぼしているにもかかわらず、品川区は立場を明確に示しません。
しかし、要望書を提出したことは事実であり、これは、市民の運動が大きくなり無視できなくなってきたということだと思います。
引き続き羽田新飛行ルート撤回に向け、皆さんと共に活動を続けていきます。
田中 さやか