たのしみは衾(ふすま)かづきて物がたりいひをるうちに寝入りたるとき―人権尊重都市品川宣言22周年のつどいから

 

きゅりあん第ホールに併設されている母子観覧ルーム

人権尊重都市品川宣言22周年の講演と映画のつどいに参加しました。

まもなく生まれて3カ月になる下の子を抱っこして受け付けへ行くと「母子室がありますよ。そこだとお子さまともゆっくり鑑賞できると思います」と、案内されました。区役所の中に子ども連れで議会傍聴ができる部屋があるのですが、そこでは議会の様子を観ることができるテレビモニターが設置されていて、子どもを寝かせたり遊ばせることができるキッズペースもありますから(ちなみに、これは議会への市民参加を求めてきた、品川・生活者ネットの提案が実ったかたちです)、そんな感じかなー?と、母子室に入ると、モニターではなく、講演の様子が直接見ることができ、マイクの音が良く聞こえる素敵な個室でした!! こんな素敵な場所があったなんて…!! 子ども連れて行って初めて知ったことでしたし、知らないのは損!! きゅりあん大ホールでのイベントを、子どもを理由に諦めていたお母さんたち!! ぜひ、活用してくださいね。

【人権尊重都市品川宣言】

人間は生まれながらにして自由であり、平等である /いかなる国や個人も、いかなる理由であれ絶対にこれを侵すことはできない/幾多の試練と犠牲のもとに日本国憲法と世界人権宣言はこの人類普遍の原理をあらわし人権の尊重が国際社会の責務であることを明らかにした/今日、我が国社会の実情はいまだに差別意識と偏見が人々の暮らしの中に深く根づき部落差別をはじめ障害者、女性、先住民族、外国人への差別などどれほど多くの人間が苦しんでいることか/人間がつくりあげた差別は人間の理性と良心によって必ずや解消できることを我々は確信する/平和で心ゆたかな人間尊重の社会の実現をめざす品川区は「人権尊重都市品川」を宣言し差別の実態の解消に努め人権尊重思想の普及啓発と教育を推進することをここに誓う

「人権尊重都市品川宣言」は、「世界人権宣言」45周年にあたる1993年(平成5年)に、この精神をひきつぎ、人権を大切にする区政を推進し「ヒューマン品川」を実現することを誓い、制定されたとのことです。

この日の講師はロバート・キャンベルさん。30年前にロバートさんが実際に遭遇した尊厳・人権を侵害された話を聴かせてくださいました。

当時は外国人が家を借りることも困難で、『外国人お断り』があたりまえ。45件目でようやく内覧ができたことや、80年代のHIVの流行で外国人というだけで居酒屋への出入りを断られたこと、イラク戦争、9.11以降イスラム教徒が暮らしづらい状況にある話から、3.11の天災・人災が起きてからの福島に住む人々に起こっている尊厳や人権侵害の実装について…。これらは日本の中、たった今起こっていること、落書きやメディア、インターネットで事実とは異なることが書き込まれ、傷付いている人がいたり、実際、生活に支障をきたしている…福島に関しては、福島に永住しているアン・金子さんのブログを紹介され、福島で暮らす方々の様子を話してくださいました。

とある地域のスーパーには農家の方たちが共同で放射性物質の測定機を購入、自分たちで作った放射性物質測定所があり、キチンと測定をし不検出のものを提供していること、そして自分たちが納得するかたちで福島で生活しているのだということを理解して欲しいということなど。

そのあとは、ロバートさんの好きな本に絡めて人権・尊厳について話してくださいました。「人と人は関わり合うことで、人を差別・卑下することがなくなり、人権を尊重することができる」と、終始伝えてくれた様に私は受け止めました。

冒頭に載せた『たのしみは(ふすま)かづきて物がたりいひをるうちに寝入りたるとき』(良寛や西行同様、清廉・質素を信念に心の自由・心の豊かさを求めた橘曙覧の句)。「寝室で家族と横になり、今日の出来事を話し合うことが楽しみだ」「日常生活の中で何でもないことに楽しみや喜びがあることや、今も昔も人の『たのしみ』はかわらない」ということが描かれているとのこと。私も、一日をおえて、寝室での家族との時間に毎日幸せを感じているので、この言葉は思わず写メを撮ってしまいました!

「非核平和都市品川宣言」「人権尊重都市品川宣言」という宣言をしている品川区。ですが「宣言」をすれば、それで市民生活から差別が排除され、人はみな等しく平等に平和に暮らせるというわけではありません。だからこそ、宣言文中の【必ずや解消できることを我々は確信する】のフレーズが、私は好き。良いなぁ、と思います。孤立している高齢世帯をどう支えるか、仕事を失った人、パートタイムで働く人をどうサポートするか、障がい者差別を禁止すること、選挙権を持たない市民・子どもの育ちゆく権利をどう保障するか…これから、なすべきことがたくさんあることも切実に考えた一日となりました。

「非核平和都市品川宣言」「人権尊重都市品川宣言」を発している品川区からこそ、平和憲法を率先して護り、時代を逆行し、自らを危険な状況に追い込むことのない様に、一人ひとりが人権・平和・憲法を学び直し、大きく声をあげていきたいですね!<たなか・さやか>